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純日本人会2373 / 新自由主義の経済学

岸田政権が成立して「新しい資本主義」という政策が打ち出された。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seisaku_kishida/newcapitalism.html

この政策は岸田議員(当時)が故安倍総理、麻生太郎議員・甘利明議員と一緒に立ち上げた議連の政策である。

政策の中身は戦後から高度経済成長時代に行われていた経済政策志向と同じで、その延長上にある。

日本は1990年代に入って日本経済は目茶苦茶になったが、1970年ころから世界的に捻じ曲げられた経済学の悪影響によって生じた最終結果である。世界中の政府や経済学会が特定勢力によって間違った経済論を強要され、一番真面目に従った日本が最大の被害者となった。

どう言う事かと説明するよりも経済学とその周辺の事情を知っておくことが事態を理解する事に有用かと思うので、述べることにした。

世の中には知識層は沢山いるが、それぞれ学んだ分野が違う。学んだ分野では知識は有っても学んでいない分野では何も解らない。勿論、複数の分野で専門的知識がある人も沢山いるが、それは世の中全体ではごく一部。それで、経済学を学んだ人ならそんな事は知っていると言う事でもここで述べておく事は有用だと思って述べることにした。

18世紀後半、1700年代から英国で始った産業革命によって都市が生まれ市民社会が成立。工場は農村ではなく都市に出来る。

都市で生まれる工場や労働者、資本家は制約の多い封建制に不満を持つ。もっと自由に経済活動をさせよ!である。

そこで自由主義思想が英国で盛んになる。社会思想史の分野を調べると興味深い。

経済学も新しい理論が色々生まれるが、主として「もっと自由に!」で「国家は夜警国家たれ!」、「政府は経済に口出しするな!」。

産業革命によって工業はドーバー海峡の向かい側のフランスに伝播。しかしそれより先に英国の自由主義思想が伝わる。産業革命の実態よりも哲学が先行するから実利的な功利主義の英国よりも理性的(?)。

フランスからドイツにも産業革命が伝わるが、実態よりも思想がフランス以上に先行。それでドイツ観念論が隆盛で、ヘーゲル登場。”ミネルバの梟は夜飛び立つ”、哲学は現実の変化の後から現実を解釈する。

そんな歴史の流れが17世紀から19世紀の西ヨーロッパ。

産業革命後の英国経済は好況と不況の繰り返し。しかし経済学者達は”政府は何もするな!”の一点張り。当時の経済学者達の考え方は自由な経済社会によって全ての経済活動は価格の変動で適正な需給関係を実現する。経済学とは価格の分析の学問だった。だからミクロ経済学。不況、失業は労働者が賃金が安いと言って職を求めないからだ。

ところが経済学者のケインズがロンドンのシテイに行ってみると失業者達はどんな低賃金でも働きたいと言っている。経済学者達は経済理論は正しいのだが、労働者達の行動が間違っていると言う。なんか変だ!

ケインズは考えた。企業は売り上げがないから労働者を雇えない。労働者は収入がないから消費できない。と言う事は社会全体がお金が足りない。ならば、政府が国債を発行して金持ちからカネを借りて消費すれば、そのカネが社会全体に廻り、売上は増え、企業は失業している労働者を雇う。すると失業は減り、大衆は消費を増やし、企業は売り上げが更に増え、世の中は好景気となる。政府は税収が増えて、国債の借金は返せる。価格の変動の分析だけのミクロ分析の経済学だけではなく、社会全体の経済を分析するマクロ経済学の提唱。ミクロだけに特化の経済学からミクロとマクロを包含するゼネラルな一般理論の経済学へ。それがケインズ経済学。

そんな事をケインズは主張し、1936年に『雇用・利子および貨幣の一般理論』と言う著書を上梓。欧米で大論争が起きた。なにしろ「不況期に政府は何もするな!」から「不況期に国債発行して政府は事業を行え!」と言う主張への転換だから。「不況の時は」小さな政府ではなく大きな政府へ!

そして論争に決着が付いたのが第二次大戦。開戦当時のアメリカは大不況の真っ只中だったが、政府が国債を発行して膨大な戦費を調達すると景気が一気に回復。それでケインズ経済学は一世を風靡。

ケインズは従来の経済学を古典派と呼んだが、「古典派」は「新古典派」と自称して力づくで論争の巻き返し。そして1970年頃、日本でも「新古典派」が大学や経済学界を席捲。それが今に至る。

要するに新古典派は政府は景気対策と称して何かするな!何もするな!である。政府がやるべき事は無く、中央銀行(日本は日銀)がお金を適切に増発し続ければ良い!政府は中央銀行に口出しするな!という主張。

日銀の独立性と言ってるのは新自由主義者で、日銀法にはそんな事は書いてない。

現在の日本経済の実情は国内総生産(≒国民所得)は約550兆円くらいで日銀の通貨発行額は672兆円強で、市場に出回っているオカネは1,200兆~1,600兆円くらい。「国の借金」は1,240兆円。極めて異常。

金融業者にとってはマネーと言う商材が超潤沢。新自由主義者たちにとってはまさに我が世の春状態。

結論として、新古典派経済学というのは「新自由主義」者のための経済論という事。だから論争で負けても力づくで世界の経済学会にインチキ経済学を押付ける。

ケインズについてはグレゴリー・クラーク先生が超詳しい。お父さんが「GNP」の概念を作った経済学者のコーリン・クラークでケインズの直弟子。

クラーク先生は日本ではFCCJの副会長で世界に日本の情報を発信している1人。クラークさんは通貨発行の陰謀論に関してもかなり詳しい。もっと大事にした方が良いと思うのだが。

岸田首相とは会った事も無いしどういう人かも知らない。しかし「新しい資本主義」が国民経済への政策を自由放任にしろ!という経済学とは真逆である事は確かである。

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